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〜産後ケアのそばで地域とはなそう〜

#003

産婦人科医/くすの木レディースクリニック北千住
藤田聡子院長 × 木村里美

聞き手:木村里美
語り手:くすの木レディースクリニック北千住 院長/産婦人科医

産婦人科医と訪問看護が出会うとき

木村

藤田先生との最初のきっかけは、
当事業所のホームページのお問い合わせフォームでしたよね。
悪阻の点滴を訪問看護で実施に関しての流れが知りたいという内容だったと思います。
 
先生のクリニックが北千住と聞いて、私自身、看護学生時代を足立区で過ごしていたので、
とても懐かしくて、うれしかったのを覚えています。

藤田
そうでしたね。
足立区にここまで思い入れを持ってくださる方が、川崎にいらっしゃる、というだけで、私の中でものすごく仲間意識があるんですよ。だから初めてお会いしたときから、初めてじゃないような、そんな気持ちでした。


それまでの私は、訪問看護というのがあることは知っていましたが、高齢者や終末期の方が利用するものだというイメージだけだったんです。まさか、周産期の領域でも、訪問看護ができるとはしらなかったんです。


木村さんとは、問い合わせのあとに、zoomで初めてお話をしながらたくさん教えていただきました。私も必死でメモを取ったのを覚えています。「訪問看護指示書」「○○管理料」などわからない言葉だらけだったので・・・

木村
当時は、
関東労災病院で産婦人科部長・副院長をされていた香川秀之先生にご理解いただいたこともあり、悪阻の点滴管理を訪問看護でサポートすることで産前から母子に繋がることができ、産後うつの予防にもつながるのではと模索していました。
 
でも、当時はコロナ禍や出生数の減少もあり、
なかなか件数がのびず悩んでいた時期でもありました。
そんな中で藤田先生からご連絡をいただいて、
「やっとつながれた」と、本当にうれしかったです。

藤田
つわりの患者さんは、当院にも今までも多くいらしていて、入院するか当院の外来で点滴をするかの二択でした。当院で点滴する場合には、スペースの都合もあって、クリニックのお昼休みにかけて、1-2時間かけて点滴をしていることがよくありました。そうすると、スタッフさんの昼食の臭いで具合が悪くなってしまう方もいらしたんです。
高齢者も訪問看護を受けているのなら、妊婦さんにもできるはずじゃないのかな、だったら、つわりの点滴も自宅でできないのかな、と思ったのがきっかけでした。

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木村
そこから自然とやり取りが増えましたよね。
お忙しいはずなのに、いつも返信がとても早くて。笑
頭の回転が早く本当に尊敬しています。

藤田
木村さんに相談すると、だいたいすぐに返事を下さるので、いつも助かっています。川崎と北千住なので、直接訪問看護指示を出したり、訪問をお願いしたりすることはめったにないのですが、困ったときは「木村さんに聞こう」と思っています。

台風の日のHPVワクチン支援

木村
印象に残っている出来事のひとつが、
HPVワクチン接種のサポートです。

藤田
2024年9月1日に当院が主催して、HPVワクチンを多くの方に接種しようという「HPVワクチンデー」というイベントを北千住マルイの9階で行いました。この時期は、キャッチアップ接種といって、定期接種を逃した方が無料で接種できる期限が迫っていた時期だったんです。1日に100名以上のワクチン接種を行うので、接種する看護師さんを探していたのですが、なかなか人数が集まらずに困っていました。

木村
そのときにお声かけいただきましたよね。

藤田
ちょっと遠いから無理かな?と思ったら、木村さんのネットワークで、予想以上の人数が来てくださることになって本当に助かりました。

木村
あゆむ訪問看護チームから、私を含め3名で北千住に向かいました。

藤田
ワクチン接種を行ったという意義ももちろんありましたし、このイベントに共感してくださったボランティアさんや医師、医学生さんとも交流が生まれて、とても楽しいイベントでした。

木村
もう2年ほど前になりますね。

藤田
本当に、困ったときに、いつも木村さんが助けてくださっています。
 

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くすの木開業塾という取り組み

木村
藤田先生は「くすの木開業塾」も主宰されていますよね。

藤田
はい、開業翌年から始めたので、もう5年近くになります。


私が開業して実感したのは、「開業医は孤独だ」ということです。病院勤務だったときは、他の仲間がいてワイワイと何でも相談しながら診療していたのを思うと、一人ぽつーんとして寂しかったんですよね。だれか一緒に働いてくれないかな、相談に乗ってもらえないかな、というのが始まりです。しかし、普通に医師募集をしても誰も来てくれないんですよね。

そうすると、「私は、開業のときにこんなことに苦労したから、こうやったほうがいいかも」「私はこんなことを工夫しています」などのノウハウを皆さんに提供することで、開業を考えている医師が応募しやすくならないないかな、と思って始めました。いまはこれが発展して、産婦人科開業医同士の緩いつながりができています。困ったときにみんなと相談して、他の人のアイデアも聞いたり、実際にクリニックを見に行ったり、見に来てもらったりしています。時には愚痴を聞いてもらって慰めあったり励ましあったりもしています。具体的には、毎月1回テーマを決めてzoomでミーティングをして、年2回はリアルで食事会をしています。

木村
現場で積み重ねてきた経験を、
次の世代につないでいく場ですよね。
藤田先生の発想素晴らしいです。

藤田
開業医の中でも、産婦人科に特化したグループなので、企業さんが企画するような開業セミナーよりも、もっと具体的な話をしていますし、開業を考えている先生、開業して何年もたった先生も参加してくださっているので、様々なフェーズの話題がでます。

木村
地域医療、特に産婦人科分野を守るためにも、本当に大切な取り組みだと思います。

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産後ケア ― 医療と地域で支えるこれから

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木村
藤田先生とは、産後ケアについてもよくお話ししますよね。

藤田
私自身が出産した時に、産後ケアを利用したかったんですが、利用するのが億劫で利用できなかった記憶があります。手続きが煩雑だったり、生後の月数が過ぎてしまっていたり、満席になっていたりして、「だったらいいや・・・」とあきらめてしまった方なんです。でも今は本当に多くの施設で産後ケアができるようになったので、アクセスがしやすくなったと思っています。

木村

私たちは
あゆむ庵を拠点に、あゆむ訪問看護チームとして産後のお母さんの不安や孤独と向き合っています。
 
川崎市の行政委託の日帰りロング型の産後ケアは、
まだ実現できていませんが、GOサインを待ちつつ準備を続けています。

藤田
木村さんのSNSをフォローさせていただいていますが、気付いたら古民家ができていて、驚きました。たくさんのイベントがあるので、いつか伺ってみたいと思っています。
産後に困ったときに相談できる場所があるのが心強いですよね。いまは実家に頼らずに、ご夫婦で子育てする方も多いです。育休を取る旦那さんも増えましたね。

木村
ありがとうございます!
「もっと早く相談すればよかった」と言われることも多くて…。

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藤田
当院では、出産を扱っていないので、32週ぐらいが最後の妊婦健診になる患者さんが多いんです。そうすると、産後にお会いすることがなかなか難しいと日頃から思っています。
なので、最後の妊婦健診の時は、「産後に困ったことがあったらいつでも相談してください」と必ず声をかけるようにしています。実際に、産後に悪露が止まらない、乳腺炎になった、傷が痛い、などでご相談いただくことも徐々に増えてきました。
先日は、生後6か月ぐらいの赤ちゃん連れのご夫婦で、当院で妊婦健診をした方向けに、乳幼児の応急救護訓練をしました。異物誤嚥や心臓マッサージ、AEDの使い方を、近隣の消防署の方にレクチャーしていただきました。懐かしい患者さんと赤ちゃん達で同窓会のようになって、とても楽しかったです。

木村
医療と地域が連携できると、お母さんたちの安心感は本当に大きく変わると感じています。


藤田
出産は妊娠における最大のイベントですが、その後の育児はさらに長く続いていくものですよね。でも出産前はそこまでなかなか想像がつかないのが当たり前だと思います。産後にも頼れる先があると、事前に知っておくことも大事だなと思っています。

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木村
私自身もワンオペ育児を経験してきたので、産後の大変さは身をもって感じています。

藤田
だから、あゆむさんの支援は、とても現実的で温かいんですよね。あゆむさんは、いつも困ったときに相談する場所でいてほしいと願っています。

支え合って築いてきた関係

木村
今振り返ると、困ったときに相談し合える、心強い関係を築かせていただいていると感じています。
まだ先生の指示で訪問に入った実績はありませんが、いつか藤田先生のオンライン診療から訪問の指示をいただける日が来ますように。「いつでも動ける関係」を築けていることが私たちにとって大きな財産です。

藤田
訪問看護指示は、エリアがあって難しいことがありますよね。でも、東京の西側の患者さんのことはご相談を受けたり、こちらからご相談させていただいたりすることもありました。私が産後の方に接するときは、必ず夜の睡眠がとれているか、食事がとれているか、疲労感が強くないか、精神的にも物理的にも孤立していないかをお聞きするようにしています。それぐらい、育児をするのは大変な仕事だと思っています。

これからの医療と地域へ

木村
これからの地域医療を、どう考えていますか

藤田
私は、クリニックを受診する前の患者さん(患者さんになる前の方々)にもリーチしたいと思って、今まで診療してきました。HPVワクチンデーもそのひとつで、クリニックで患者さんが来るのをただ待っているだけではいけないな、と日々感じています。最近は学校や保育園に出向いて、性教育関連や生理についてのお話をしたり、養護の先生向けの講義をしたり、足立区の性教育サイトを作ったりもしています。これからも、自分がもっと地域に出て行って、患者さんに「会いに行く」ような開業医でありたいと思っています。

木村
私たちも、
切れ目のない支援、医療と生活の「間」をつなぐ存在でありたいと考えています。

藤田
あゆむさんは、すでにその役割を担っていますよね。当院もあゆむさんに負けないように、地域とのつながりを作っていきたいと思っています。引き続きご指導お願いいたします。

木村
まだ課題は多いですが、これからもご指導いただけたら幸いです。
本日は本当にありがとうございました。
藤田先生、引き続きよろしくお願いいたします。

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